inahoto's blog

頭の中を綴るブログ。本とともに。

年の瀬、ふりかえり

自分が今年読んだ本たちは自分の今年の思考のあわられだな〜とつくづく思う。ある時から小説が読めなくなった。忙しいからだけではなくて、情景描写や心情描写が目で追えなくなった。この物語を読みたいと思っても、粗筋と結末を知ればそれでいいとさえ思うようになった。文体のリズムや言葉のチョイスに作者の思いが詰まっているのに、である。

この1年のうち前半は自己啓発やビジネス本と類されるものばかりで、その時までの自分の価値観と、一般的に良いとされる思考法の合致に満足するために読んでいただろうし、そのおかげでそうした物事の捉え方が増強された。マニピュしたりされたり雁字搦めの自分は昔の自分にはないスキルと自信と反対に、失ったものに思いを馳せながらもそれを正当化するしか無かった。

 

「忙しいを理由にやらないことはやらなくてもいいこと」
「悩んで出した答えは正解」
って言葉大好きで物事を取捨選択する際の道標になってくれていたけれど、本当に忙しくてできない→「時間は作るもの」なのに?→作れない→やりたくないことだから考えない、の思考ループで辛かったし、別のルートを歩んでいた場合への想像力を意図的に止める要因になっていた気がする。

 

たくさん行動して経験して人に出会ってその思考が解けたとき涙が出るほど嬉しかった。ロジカルシンキングに染まって、目的と意味のあることにしか興味がなくなって、会話の枝葉を話せなくなって、時間とお金に縛られて。目的先決の思考は最短ルートしか興味を持たせなくする。枠の中で考えうる在り来りな解しか導き出せない。目標が達成されればまた別の目標を設定し、生産性が上がれば余った時間でまた別の仕事をする。遊びや余白の時間はそのあとと思いつつ一生来ない。そんな考えも聞いたことはあったのに「その言葉が"実感レベル"として"響く"」、「2,3日それについて"逡巡"する」までに至るにはなかなか難しい。

 

オリバー・バークマンの『限りある時間の使い方』に、キャリーケースの中に効率よくたくさんのモノを入れようとする方法を人生の時間の使い方にあてはめるなというような言葉があった。大学4年間をいかに濃くするか、成長するか(!)に焦点を当てていた自分にぐっさり当てはまった。もう1個バックを用意しても良いのである。もちろんバックを2個も3個もは持たないようにしたいが。


ただ、今までの思考法を全否定していては本末転倒である。ちゃんとバランスを保ちながら、吸収しながら、自然体で生きれるようになりたい。今年は目の前のことにもちゃんと悩んだけれど自分のバイアスとかコミュニュケーションについて考えることが多かった。頭の中にとめどなく言葉が溢れてきて、過去・現在・未来の自分と対話を続けてきた気がする。来年は何に悩むかな〜なんてわくわくしながら年末を迎える。

 

 

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影響を受けた本たち

オリバー・バークマン『限りある時間の使い方』

木村尚義『ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門』

西村博之『1%の努力』

デイル・ドーテン『仕事は楽しいかね?